そして幸せに暮らしましたとさ

この物語はフィクションです

同窓会の幹事をやってみた話

退職日も決まり、正式に無職になることが確定した。といっても、実はくだんの社員旅行直後から体調不良を理由に休みを決め込んでいたので、実質すでに無職4ヶ月目である。

この4ヶ月を振り返ってみると、脱出ゲームとソリティアばかりやっていた。特にソリティアはめちゃくちゃ上達した。すごい頻度でカードが乱舞する。あーソリティアが中途入社試験ですって会社ないかな。あったとしても入りたくないなそんな会社。

 

で、通い始めた心療内科の先生にあまり引きこもらず友人にでも会うことを勧められたので、同窓会を開くことにした。

自慢じゃないが同窓会に呼ばれないタイプである。別にいじめられてたとかじゃないし現在まで付き合えてる友人もそれなりにいるんだけど、類は友を呼ぶというかなんというかどいつもこいつもクラスの中心にいなかった人間ばかりなので、いつしかその手の連絡が回ってこなくなった。忘れた頃にFBにアップされる「○年○組最高〜」的なコメントつきの集合写真。記憶よりも丸くなった男子が中後列を固め、前の方にはすっかり綺麗になった女子が勢揃い。あの頃いつも腰パンだったチャラめの男子が最前列に寝そべっている。見飽きた構図の写真にいいね!を押しつつ、「呼ばれてねえな……」と「呼ばれても困るな……」というアンビバレントな思いをそっと噛みしめる。

 

そんなルサンチマンの苦味を知る人間だけで集まろう、というのが今回企画した同窓会のコンセプトだ。「このコンセプトに共感してくれそうな仲間を誘ってください」というチェーンメールまがいの告知をしたところ、数日で10人以上の連絡先が集まった。おそらく全員社交的ではないことを考えると、わりと驚異的なペースだと思う。

たぶん普通の居酒屋とかに行ったらいつもの相手としか話さずに終わるタイプの人間が多いので、民家っぽいレンタルルームで、鍋の具材とゲームでも持ち寄って、出入り自由の宅飲みみたいな感じにしようと考えている。どうなるか楽しみ。

 

辞めた前職は企画系なんだけど、やっぱりこういうエッジ効かせたコンセプトが他人に刺さって盛り上がってる状況ってすごくわくわくする。会社は嫌になってしまったけど、仕事は嫌いじゃないのかもしれない。